セキセイインコのメスを飼育されている方で、ペアで飼っていないのにインコが卵を産んでしまった、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
セキセキインコは見た目で雄雌が判別できるので、メスを飼われている方は、インコが卵を産むかもしれない、という可能性を考えておく必要があります。
インコの産卵は体力を消耗しますし、時には命がけになる時もあります。
愛鳥を守ってあげるには、私たち飼い主がインコの産卵に対する知識を持ち、しっかりサポートすることが大切です。
インコが産卵した場合の卵はどうしたらいいのか、発情期や発情の抑制方法を詳しく解説します。
セキセイインコの産卵について
セキセイインコのメスは1羽で飼っていても、発情をすると卵を産むことがあります。
その卵は無精卵で、残念ながらいくらあたためても孵化することのない卵なのですが、それでもけなげにインコは抱卵します。
産んだ卵は直ぐに取り上げずにそのままにしてあげましょう。
卵を産むことはエネルギーを沢山消費して、体力を使うので体調を崩したり病気になる可能性が高くなります。
エネルギーの消費を抑える方法としては、偽卵を5,6個用意しておいて一つ目の卵を産んだらそっと混ぜてあげましょう。
10~20日ほどすると、孵らないことがわかるのかインコも関心がなくなります。
インコが卵を気にしなくなったのを確認して、様子を見ながらケージから卵をすべて取り出してあげます。
どうしてしばらく取り出さないほうがよいのか詳しく解説すると、一番の理由がインコの習性によるものだからです。
セキセイインコの産卵の流れをみていきましょう。
セキセイインコのメスは発情すると、おなかに卵を持つことがあります。
インコの体重測定している飼い主さんは体重の変化で気づくこともあるかと思います。
手乗りのインコは、手にのせた時に、いつもよりずっしり重たい感じがするはずです。
人間の排卵は1か月に1回ですが、インコの排卵は2日に1回になります。
卵をおなかに確認してから1~2日でひとつ目の卵を産み、そこから1日におきに平均して合計5~6個の卵を産むことが平均的です。
ここで注意したいことが2つあります。
1つめは、おなかに卵ができてから1日以上経っても卵が出てこない時は、卵詰まりの心配があります。
インコの様子を確認して、食欲がなくうずくまっているなど異常があるようなら、すぐに動物病院を受診しましょう。
のちほどご紹介しますが、卵詰まりはとても怖い病気です。
2つ目に、インコは卵を作るのに、カルシウムをたくさん必要とします。
産卵中はいつもより十分な栄養を摂ることで正常な硬い卵を作り、スムーズな産卵を促す助けになります。
不足しがちな栄養を補給するためボレー粉、青菜などを与えましょう。
普段ペレット食の場合は、栄養が強化されたブリーダータイプもあります。
インコは産卵すると抱卵に入ります。
セキセイインコは一つ目の卵から温め始めたり、2つ目を産んでから温め始めたりと個体によってさまざまです。インコが産んだ卵はケージにそのままにしておいてあげましょう。
早々に取り出してしまうと、インコは卵の数が少ないことを認識して、また産み足してしまいます。
産卵過多にならないように、2週間ほどは卵をそのままにしてあたためさせてあげてくださいね。
もし、卵にヒビが入ってしまっているなどの理由でやむをえず取り出したい時は、偽卵に置き換える方法もあります。
無精卵も偽卵も孵りませんので、2週間ほどでインコは卵に関心を持たなくなるでしょう。
そうなりましたらまとめて卵を取り出してください。不要に産卵モードが長引かないように、一気に卵を取り出し環境を一変させることが重要です。
インコの産卵は体力をかなり消耗します。病気になるリスクも高まります。
繁殖をしないのであればできるだけ発情を抑制するのがベストです。
そうは言っても、発情は自然なことで避けることができない時ももちろんあります。
卵がおなかにある場合は、発情抑制はいったん止めて、インコがトラブルなく産卵を乗り切れるようしっかりサポートしてあげましょう。
飼い主をパートナーと錯覚して、季節を問わず発情することもあります。
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インコをペアで飼育していて、巣引きをしようと思っているのであればインコの産卵は喜ばしいことですね。
巣引きの産卵についても少し触れておきます。
相性の合うペアができたら、巣箱を設置したケージに同居させます。やがて、発情・交尾行動が見られ、メスが巣箱に入るようになります。
1週間ほどすると、メスは巣箱に入ったままになり、その後産卵がはじまります。
産卵中は栄養を十分に摂る必要があります。卵のもとになる高脂肪のエサ、カルシウムやビタミン補給のためボレー粉や青菜などを与えるようにしましょう。
ペレット食の場合は、ブリーダータイプのものがお勧めです。
インコは1日おきに1個ずつ、一度の巣引きで合計5~6個ほどの卵を産みます。
メスが抱卵している間は、主にオスが巣箱にエサを運びます。
オスは見張り役なので、巣箱の前で警戒する行動もみられるようになります。
飼い主さんは、巣箱の様子も時々覗いてチェックしてあげてください。頻繁に覗くと、インコが抱卵をやめてしまうこともあるので注意です。
抱卵がはじまったら、エサは普通のものに戻して大丈夫です。
抱卵をはじめてから20日前後で孵化がはじまります。
ヒナのかわいい声が聞こえてくるでしょう。
巣箱の中は汚れていると思いますが、孵化から3週間ほどはそのままそっとしておきます。
巣箱の中で異常が発生していないか、時々様子を伺ってみましょう。
孵化がはじまると、親鳥はヒナに半分消化したエサを吐き戻して与えます。
そのため再び栄養価が高いエサを必要とします。
高カロリー、高タンパクのアワ玉、麻の実をエサに加える、ブリーダータイプのペレットなどで対応しましょう。
ボレー粉、青菜、水も多めにしておきます。
生後35~50日ほどで、ヒナは自分から巣箱を出て巣立ちます。
ヒナを手乗りにする場合は、孵化20日前後くらいに親鳥から離して、人間が差し餌をはじめるようにします。
巣引きする場合も、産卵はインコにとって消耗が激しく体の負担になるのは変わりません。
繁殖は年に1~2回にして、できればヒナを育てやすい春、秋にするのが理想です。
インコの発情期について
野生下のインコの発情期は、年に1~2回ほどです。
- 日照時間が長い
- 栄養豊富なエサが十分に確保できる
- ヒナを育てるのに十分な温度
- 巣作りに適した静かなで安全な環境
上記のような繁殖に適した環境が整うと発情期を迎えます。
飼育されているインコは、発情しやすい環境が一年を通して整っているケースが多いです。
そのため季節を問わずに発情モードになりやすくなります。
このような状態を「発情過多」といいます。
インコが発情している時は、下記のような行動をよく見かけるようになります。
- 攻撃的になる
- 狭いところに入りたがる
- 多尿になる
- 飛行機のような尾をあげたシャチホコポーズをする(メス)
- 紙などをかじって巣作りの用意をする(メス)
- 蝋膜(鼻の部分)が茶色くカサカサになる(メス)
- フンが大きくなる(メス)
- 卵を産む(メス)
- 吐き戻しをする(オス)
- おしりをこすりつける(オス)
上記のような発情行動をはじめたら、1羽飼いの場合や繁殖しないのであれば発情を抑制してあげるようにしましょう。
発情することや卵を産むことは、インコの体力を消耗させてしまう上、生殖器系の病気にかかるリスクを高めてしまうことになります。
すでに卵を持ってしまっている時は、無理な発情抑制をせずに無事に卵が産まれるよう産卵に備えてあげるようにします。
また困ったことに、発情の症状は卵巣や卵管の病気と似ていますので、この時期はいつも以上に、注意深くインコを観察することが大切です。
発情で起こりやすくなる消化器系の主な病気を挙げます。
・卵塞(卵詰まり)
メスのインコに起こる、卵が卵管の中でつまってしまう病気です。
発生しやすく、命に関わる病気です。
産卵の機会が多くなると、卵詰まりになる危険性も高まってしまいます。
インコのおなかが膨らんでかたくなっているのに1日以上経っても卵を産まない、食欲がなくうずくまっていることが多い、苦しそうに息をするなどの症状がみられます。
このような症状があれば、すぐに動物病院で鳥を診れる獣医師の受診しましょう。
卵詰まりの原因はいろいろあります。
インコの産卵には体力的に1歳~5歳くらいが適していると言われますが、未成熟の鳥や老鳥の産卵である場合、カルシウムやビタミン不足、日光浴不足、寒さなどが主な原因となります。
~予防対策~
インコの産卵時は、より多くの栄養を必要とします。
ボレー粉などカルシウムやビタミンを十分に与えて、日頃から日光浴もさせてあげるようにしましょう。
太陽の光を浴びると、体内にビタミンD3を合成することができます。このビタミンD3はカルシウムの吸収もよくすることができるので一石二鳥です。
・卵管炎
メスのインコに起こる病気で、ホルモン異常や細菌感染から卵管に炎症を起こしてしまいます。
腫瘍や卵塞などが起因となることも多いです。
腹部に水がたまり、痛みのために自分の腹部を気にするようになります。
重症になると食欲不振などにもなるので、早めに処置してあげるようにしましょう。
治療は原因や症状により、抗生物質の投与や開腹手術になります。
~予防対策~
この病気の根本的な原因は、産卵のしすぎです。
発情抑制をするなどして、産卵しないようにするのが一番の予防になります。
発情によって起こりやすい病気は、産卵をするメスに起こるイメージが強いですが、オスも精巣腫瘍などの病気があります。
おしりをこすりつける発情行動で、おしりが腫れたり出血したりすることも。
オスは吐き戻しもするので、放鳥中にそのような発情行動をしたら、いったんケージに戻すなどして発情抑制してあげるといいでしょう。
ケージ内でするようでしたら、その対象物を一度取り除くようにしましょう。
このように発情が原因となる病気がたくさんあります。
無用な発情をしないことは、病気になるリスクから愛鳥を守ることに繋がります。
発情をコントロールするのも、私たち飼い主の大切な役割です。
インコの発情期抑制方法を解説
インコが発情するのは悪いことではなく、ごく自然なことです。年に1~2回であれば問題ありませんが、飼育下のインコは発情しやすい環境が整っていることが多いです。
一年中、発情してしまうインコもいます。
発情することによって、生殖器系の病気のリスクも高まります。
繁殖しないインコはできるだけ発情をしないようにしたいものです。
愛鳥の健康や命を守るため、飼い主さんは意識して、発情を管理してあげることが重要です。
インコの発情抑制方法を6つのポイントに絞って解説します。
① 日照時間を短くする
野生下のインコは日照時間が長くなると発情します。
日照時間は日光だけでなく、家の電気の明かりも含まれます。
飼い主さんにあわせて、夜遅くまで明るいお部屋で生活しているとインコにとって日照時間が長くなり、発情を誘発してしまう原因になります。
発情している様子が見られたら、いつもより少し早く暗くして寝かせてあげましょう。
具体的には、1日の日照時間を8時間ほどにします。
ケージを暗くて静かな場所に移動するなどして、しっかり睡眠をとるように調整してあげると、発情抑制につながります。
② 発情の対象物を取り除く
インコの発情の対象は、同種の異性だけではないのです。
その対象は実にさまざまです。
おもちゃや鏡、丸めてあるティッシュなど、私たちにとっては意外なものも発情の対象になるのです。
また、経験がある方も多いかと思いますが、飼い主をパートナーとして愛情を注いでくれることもあります。
我が家のセキセイインコはオスなので、私の手に吐き戻しをしてくれることがありました。
インコの発情の対象になりそうなものは、できるだけ取り除くようにしましょう。
発情時は飼い主さんも愛鳥をかわいがりたい気持ちを少しだけ抑えて、過剰に撫でるなどのスキンシップを控えましょう。
③ 暖かくしすぎない
一年中、暖かい部屋で過ごすことで、インコは季節感がなくなり発情しやすくなります。
病気の時や免疫力が落ちている時、寒くて膨らんでいる時は保温が必要ですが、寒そうな様子がない時には暖房は切るようにしましょう。
飼育環境の温度目安は20℃~25℃です。
あまり過保護にしすぎてしまうと、発情期が長引いてしまいます。
④ 太りすぎに注意
セキセイインコは太りやすく、ダイエットしているインコの話をよく聞きますが、太りすぎは発情を促してしまいます。
飼育下のインコは十分なエサが年中あるので、ただでさえ発情しやすい環境にあります。
太っているメスのインコは、卵を作るための栄養も体内に十分にあるということになりますので悪いことではないのですが、太り過ぎは病気の原因にもなります。
健康管理の為にも、毎日体重測定をしてあげましょう。
愛鳥の適正体重を知りご飯の量を管理してあげることができます。
インコが大好きなカナリーシードやおやつは高脂肪なので、発情しているときは量を減らすか、ペレットを食べるようでしたら与えないようにしましょう。
⑤ 巣箱や巣作りの素材とものを遠ざける、与えない
巣箱があったらインコが暖かく過ごせていいかも、とケージに巣箱やハウスを入れるのは厳禁です。
インコのケージに巣箱やハウスを入れるのは繁殖をする時のみにしてください。
安全で暗い狭い場所は、インコのメスが発情するトリガーになります。
巣そのものの他にも、巣作りの材料となるものもインコから遠ざけるようにしましょう。
一番多いパターンは、ケージの底網の下に敷いてある紙をひっぱりだしてしまうことです。
必ずフン切り網をして、敷き紙がはみださないようにセットしてあげましょう。
放鳥時にも注意が必要です。
素材になるものをみつけてしまうかもしれませんので、新聞紙などをインコの目のつくところに置かないようにする、インコから目を離さないようにするなどして発情のきっかけになるものを遠ざけるようにしましょう。
⑥ 少しだけストレスを与える環境づくり
かわいい愛鳥にストレスを与えるなんてとんでもない、と思われる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、安心感のある生活環境はインコの発情を促してしまいますので、いつもの生活に少しだけ緊張感を与えるようにして、発情を抑える工夫をしましょう。
例えば、ケージの置き場をいつも同じにしない、日光浴を兼ねて外の空気に触れさせる(必ずケージやキャリーケースに入れて、見守りは忘れずに)など小さなことで十分です。
インコが発情している場合ではないという気持ちになります。
もちろん過度なストレスは病気の原因になりますので、少しづづ様子を見ながら環境変化を試してみましょう。
以上、インコの発情抑制の方法6つのポイントです。
まとめ ~卵の産みすぎは寿命を短くする~
セキセイインコのメスは、一羽で飼っていても発情すると卵を持つことがあります。
卵ができてから1日ほどで1つ目の卵を産み、それから1日おきに平均して合計5~6個の卵を産みます。
無精卵のため孵化しない卵であっても、そのまま2週間ほどはケージにいれたままにしましょう。
インコが興味を示さなくなったら、一気に取り出してあげます。
インコの発情期は通常は年に1~2回です。しかし、飼育されているインコは、発情する環境が整っていることが多く、一年を通して発情しやすくなります。発情が原因となる生殖器系の病気もたくさんあります。
産卵はかなりの体力が必要で、発情が長引いて卵を産みすぎると寿命が短くなります。
偽卵を与えて安心させて産み過ぎないように調節してあげましょう。
インコの健康を守るためにも、飼い主さんは意識して発情を抑制するようにすることが大切です。
発情抑制の主な方法は
- 日照時間を短くする
- 発情の対象物を取り除く
- あたたかくしすぎない
- ふとりすぎにならないようにする
- 巣や素材となるものを与えない
- 少しだけ緊張感のある環境におく
上記を愛鳥に対して心がけることです。
愛鳥と長く楽しい時間を過ごせるよう、インコにとって無用な発情はしないように発情を管理してあげましょう。